反論が必要なときには「否定語」以外を使う
3.「でも、だって」をどう言い換えたらいいのか
とはいえ、たとえば人から、少しばかり無茶な要求をされたら、ついつい反論もしたくなります。そんなときには、どのような言葉を使えばいいのでしょうか。コミュニケーションの感じがいい人が使う言葉にヒントがあるので、ご紹介したいと思います。
余談ですが「感じ」を辞書で調べると、「感覚」や「印象」と出てきます。感じがいい人とは、印象がいい人。たとえどんなに多忙だったとしても良い印象を崩さない人は、「でも、だって」の代わりに「ある言い方」をしています。
たとえば、こんなふうに。
「申し訳ありません。今○○の業務をしなければならず……その後でよろしいでしょうか?」
「すみません。今日中に仕上げなければいけない業務があるので、明日の午前中でもいいでしょうか?」
「でも、だって」の人たちは、反射的に否定語からはじめてしまいますが、コミュニケーションの感じがいい人は、「これをやってほしい」「こうしてほしい」という相手の希望に今は添える状況でないことをまずお詫びし、その後、自身の状況を伝えます。
まずは「肯定」で相手を受け止める
これは、相手から言われたことに対し、ひとまず「Yes(肯定)」で受け止める、という「アサーティブコミュニケーション」と呼ばれるコミュニケーション手法のひとつです。
どんな時も好印象を崩さない感じがいい人たちは、「まず、相手を受け止める」という手順を自然と踏んでいるものです。誰でも、自分を受け入れてくれたら安心感を覚えるとともに、受け入れてくれた相手にもいい印象を抱きます。その印象が感覚となって残るので、「感じがいい人」というふうになるのです。
「でも、だって」と、つい否定語から入ってしまう人も、まず相手を肯定してみるというスタンスを意識していくことが、人と良好な関係性を築いていく上で大切なことです。
また、上記の例では、「すみません」や「申し訳ありません」を言い換えの例としてお伝えしましたが、Yes(肯定)で受け止める言い換えは、ほかにもあります。
・そうですね
・そう思っているんだ
・そういうことか……
・こういうのはどうでしょう?
など。
「“でも、だって”を言いたくなったら、○○を使う」と、置き換えの言葉を決めておくのもよいでしょう。
また、相手の言っていることが無理難題である場合や、間違っていると思われる時は、その場で解決しようとせず、少し考える時間を置いてから返事をするのも効果的です。
まとめますと、
・言い換えの言葉を決めておく
・代替え案を用意する
そうすることで、コミュニケーションの質や形が、否定的なものから感じのいいものへと変わっていきます。