人から褒められても素直に受け取れず、むしろ自己嫌悪してしまう人がいる。精神科医のバクさんは「相手が嘘をついていようが、おべんちゃらで言ったのであろうが、本心から言ったのであろうが、『ありがとうございます、嬉しいです!』と全部受け入れて感謝することが重要だ」という——。

※本稿は、バク@精神科医『生きづらいがラクになる ゆるメンタル練習帳』(ダイヤモンド社)の一部を再編集したものです。

うつむいている人
写真=iStock.com/monzenmachi
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他人の言葉を素直に受け取れない人たちへ

他人から褒められたとき、あなたはどんな反応をしているでしょうか?

自己評価の低い人は、人から褒められたとき、それを否定しがちです。

「お話を聞いていたら、いろんなことに気を配られている、とてもいい人だと思いましたが……」と私が自己評価の低い人に言うと、「そんなことありません! 全然ダメなんです」と、とにかく否定されます。

何を言っても「私は褒められるような人間ではありません」の一点張りでした。

謙虚ではあるかもしれませんが、この反応、褒めた側から見たら、どうでしょうか?

「ステキなお召し物ですね」
「いやいや、全然! 色合いもなんか変ですし、すみません。無理に褒めさせてしまいましたか?」
「え? いや、そんな無理にとかでは……。あー……なんだかすみませんこっちこそ……」

逆に褒めたほうが悪いんじゃないかと思うくらい、褒めた人の意見が否定されていますね。

あなたが誰かに褒められたときは、これほどではないかもしれません。でも、このように否定は、そもそも相手の言ってること自体を全否定していることになるのは、ここまで読んでこられた方ならもう薄々はお気づきですよね?

相手のことも否定している

私は患者さんに対して必要だと判断した場合はズバッと言うほうで、こういうとき「え、褒めた人の気持ちを否定しちゃってませんか?」と言っています。

大体の人が「え! 褒めてくれた人の気持ち?」と驚かれますが、確実に相手を否定しています。先ほどの例を極論すると、「え? 素敵なお召し物? これがそう見えるなんて変ですよ? こんなのを褒めるんですか?」と言っているようなものです。

これでは相手のセンスを全力で否定しているだけです。

「いや、でも相手は本心からこの服を褒めているわけではないし、本心から褒めていないから……」と心底思ったとしても、あなたはエスパーではないので本当に相手が本心から褒めていないか判断する能力はありません。

「あなたが会話の相手に褒められた」
「あなたは会話の相手の意見を否定した」

という事実だけが、確実に起こったことです。

さて、これはどうしたらよかったんでしょうか?