2021年1月、アマゾンはヘルスケアサービス「アマゾンケア」を夏までに全米で展開すると発表した。ベンチャー投資家の山本康正さんは「この波が日本にまで波及することは十分にあり得る。大量のデータを使って、一人ひとりに最適な保険サービスを構築していくため、今の日本の保険会社ではとても太刀打ちできないだろう」という――。
※本稿は、山本康正『2030年に勝ち残る日本企業』(PHPビジネス新書)の一部を再編集したものです。
GAFAが集めるバイタルデータが可能にすること
アップルは「アップルウォッチ(Apple Watch)」、アマゾンは「ヘイロー(Halo)」というウェアラブル端末を通じて、歩数や心拍数など、ユーザーのバイタル(生体)データを取得しています。アップルは、今年の開発者会議で、iPhone単体でも、転倒予測検知ができたり、病院で医師に安全に健康情報を共有したりできる仕組みを発表しています。
グーグルも、2021年1月に買収を完了した「フィットビット(Fitbit)」によって、バイタルデータを得ることができるようになりました。フェイスブックも同様のウェアラブル端末を開発中です。
今後、収集したバイタルデータを活用したサービスが次々と生まれていくでしょう。すでに提供されているサービスでは、睡眠、アクティビティ、体脂肪などの情報を利用者に伝えることで、健康への意識を高めるものがあります。
このようなバイタルデータの取得は、技術革新によって、さらに進みます。これまでは血液を採取しなければ取得できなかった血糖値などのデータも、注射器を使うことなく、スマートウォッチのようなウェアラブルデバイスから得ることができるようになるでしょう。
ウェアラブル端末からバイタルデータを簡便に取得できるようになると、大きく変わる業界があります。保険業界です。