多種多様な業界の上流から下流までを手がける総合商社は、日本独特の業態だ。ベンチャー投資家の山本康正さんは「日本の総合商社はGAFAに対抗し得る重要なポテンシャルを持っている。それには、BtoBサービスのデジタル化とそれを実現する人材登用が必要だ」という――。

※本稿は、山本康正『2030年に勝ち残る日本企業』(PHPビジネス新書)の一部を再編集したものです。

日米のおもちゃの国旗を持つビジネスマン
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総合商社は巨大企業の共通トレンドを押さえ済み

グループ会社同士で集まり、情報交換をする。優秀な人材を、新たに設立した子会社のトップに抜擢する。そういった、一般的な企業では難しい施策や人事がスムーズに行なえることを強みに、総合商社は成長してきました。

ところが、バブルが崩壊して以降、特に重厚長大な事業を手がける部門やグループ会社が足を引っ張る形で、総合商社の時価総額は減少していきました。各事業の価値の合計を企業価値が下回る状態(コングロマリットディスカウント)になり、なかなか投資家の興味を引きづらかったのです。

しかし、GAFAをはじめとする米国のテクノロジー企業や、いずれGAFAのような巨大企業に成長する可能性を秘めたベンチャー企業に共通するメガトレンドの一つ、「コングロマリット化」を、デジタルではない、リアルのほうでは成し遂げているので、あとはデジタルのほうをつなぐことによって大きく変革を果たせる余地があります。すでに果たしている総合商社は、今まさに、その強みを活かして、変わろうとしています。