総合商社がGAFAに対抗するための狙いどころ
ただし、総合商社がGAFAに対抗する上では、大きく不利な点もあります。GAFAのビジネスの中心が、人件費がさほどかからないオンライン中心なのに対し、総合商社の事業の中心はリアルです。つまり、人件費や不動産などの費用が圧倒的にかかっているのです。
もう一つは、クラウドやAIを、グーグルやアマゾンは自前で持っているのに対し、総合商社は現在、同等のものを持っていないことです(ただ、住友商事は量子コンピュータに力を入れるなど、次のスタンダードを見据える動きをしています)。総合商社は、今から自前でデータセンターを作るか、彼らと協業する必要が出てきます。もし両者が同じサービスを展開するとしたら、コストの面で敵わないことは明らかです。
では、どう戦えばよいのか。
もともとの商社の強みであるBtoBのサービス、それも上流から下流までを一気通貫で行なうサービスに成長の余地があります。できるならば、ソフトウエアやAIで可能な限り自動化し、国内外問わず提供できるサービスです。
例えば、アパレルを扱う小売業者に対して、先述したような商社ならではのデータをもとに管理ソフトウエアやアプリの提案をしたり、調達から配送までを最適化したスマートファクトリーを実現したりできるでしょう。
総合商社は自らビジネスを手がけて得たリアルな経験を持っています。その経験を、属人的なところからデジタルに移植し、ベテランが辞めても同等の質の業務を回せる体制を実現すべきです。