独自体系でアマゾンの先を行く「平安保険」

平安保険は、1988年に社員数13名でスタートしました。データを活用することで業績を伸ばし、現在では170万人以上のスタッフを抱えるまでに成長しています。

山本康正『2030年に勝ち残る日本企業』(PHPビジネス新書)
山本康正『2030年に勝ち残る日本企業』(PHPビジネス新書)

基本的には、アマゾンの保険サービスと同じく、日々の生活スタイルやバイタルデータを取得することで、従来の保険よりも安い金額で、同等、もしくはそれ以上の内容を保障する商品を提供しています。

2004年に上場を果たした後は、さらにテクノロジーを利活用し、業容を拡大。遠隔診療をはじめ、まさにアマゾンがこれから手がけていくような医療サービスも提供しています。

生命保険事業に留まることなく、健康保険、年金保険、損害保険といった各種保険サービスの他、銀行などの金融事業にも進出。現在は、銀行、投資、決済といった包括的な金融サービスを提供する巨大グループとして存在感を発揮しています。

GAFAと手を組むことなく、あくまで独立系の企業が、自社でデータの取得から活用までを内製化することで、ここまで成長したのです。日本の企業にもチャンスがあるという証左であり、手本になる企業だと言えます。

これからの保険会社に必要なサービスとは

すでに動き出している生命保険会社もあります。住友生命保険です。同社は2018年から、スマートフォンから収集した歩数のデータなどを活用した「Vitality」の提供をスタートしています。もともとは南アフリカで始まったプログラムです。

Vitalityでは、保険加入者は、健康状態や運動状況により、四つのステータスに分けられます。そして、ステータスに応じて保険料が上下します。運動することでメタボを解消し、健康になるとともに保険料が安くなるサービスであることを打ち出しています。

健康的な生活を意識している保険加入者は、一部でしょう。しかし、だからこそ、Vitalityのように、保険会社からのアクションで加入者を健康に導く保険サービスの構築が、これからの保険会社には求められます。

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