菅義偉政権の発足以来、政権の打ち出す政策に是々非々で接しつつも「功」の部分により多く光を当ててきた橋下徹氏。退陣表明に当たり、菅首相を評価するポイントや、無念を感じる理由について力のこもった論を展開する。プレジデント社の公式メールマガジン「橋下徹の『問題解決の授業』」(9月7日配信)から抜粋記事をお届けします。

大きな政治決断を下し実績を残してきた菅政権

先週末(9月3日)、菅さんが首相を辞めるという驚きのニュースが飛び込んできた。この日、菅義偉首相は次期自民党総裁選に立候補しないと表明したのだ。次の総裁が決まる9月末にも首相を退任する。

正直残念だった。

橋下 徹『大阪都構想&万博の表とウラ全部話そう』(プレジデント社)
橋下 徹『大阪都構想&万博の表とウラ全部話そう』(プレジデント社)

菅政権の政治には賛否が色々あるだろう。しかしメディアが政治に文句・批判ばかり言ったところで政治はよくならない。民主国家において政治とメディアは両輪・両翼だ。

政治とメディアがお互いに切磋琢磨し、政治が国民の適切な民意を受けることができるようにする。そして国民の民意を推進力として政治が前に進む。与野党という政党間の切磋琢磨だけでなく、このような政治とメディアの切磋琢磨も必要だ。そしてそれは政府与党とメディアの切磋琢磨だけではない。野党がよくなるためにも、野党とメディアの切磋琢磨も必要だ。

ところが戦後政治は、例外的に野党に下ったことはあるものの、自民党が当然のように政府与党の座を占めていたので、野党もメディアも政府与党(自民党)に対して批判するばかりの存在になってしまった。