一流は相手が求めることから話し始める

一流は、説明するときに何からはじめるか? 一流は、まず相手の頭の中を想像しはじめます。

例えば、売上の達成状況、商談の結果、依頼したことの進捗など、YES・NOがハッキリしているものは結論から聞きたいだろう。逆に、前提や背景が必要なものは、結論よりも詳細から聞きたいだろうと。

普段から、「結論は?」が口癖の人には、結論から。「根拠は?」が口癖の人には、まず根拠を示してそのあとに結論を。

悩みを相談された場合は、うかつに結論を伝えることは禁物です。相手は結論を求めていないことが多いからです。充分聞き取った上で、それでも相手がアドバイスを求めているようであれば、そこではじめて「こうしたほうがいいですよ」という結論を伝えます。

会話をしている2人
写真=iStock.com/LeoPatrizi
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「相手の頭の中を想像する」と言うと、一見難しく聞こえるかもしれません。そんなときは、「今、相手の頭の中は、3つのうちどれだろう?」を考えてみてください。

①まずは結論から知りたい
②前提、背景、根拠といった詳細から知りたい
③まだ結論を求めていない(話を聞いて欲しい)

どれかにヒットします。説明とは、わかりやすく解き明かすこと。誰に解き明かすのか? それは間違いなく「相手」です。相手の頭の中が想像できて、はじめて説明の入り口に立てるのです。

一流は、相手の頭の中から考えはじめる

三流ほど論理的に説明したがり、失敗する

「論理的に話せるようになりたい」、そういった声をよく聞きます。

論理とは、簡単に言うと「話の筋道」です。有名な一節で、「人間はいつか死ぬ」→「ソクラテスは人間である」→「ソクラテスはいつか死ぬ」があります。筋が通っています。

これを「演繹えんえき法」と言います。前提に当てはまる事実から、結論を導く方法です。

例えば、次のようなものです。

【前提】遅刻をしない人って信頼できるよね
【事実】田中さんは1回も遅刻したことがないよね
【結論】だから田中さんは信頼できるよね

【前提】→【事実】→【結論】で語ると、筋が通っているように感じます。

しかし演繹法には、最大の弱点があります。それは「前提が間違っていると、論理が破綻する」ということ。

先の例、【前提】「遅刻をしない人って信頼できるよね」というのは本当でしょうか?

遅刻をするけど、信頼されている人もいます。毎回会議に遅れて登場する社長もいますが、信頼されている人も多いと思います。そもそも信頼の定義も皆さん違いますしね。前提が崩れると、「田中さんは遅刻をしないから信頼できる」とは言えなくなってしまいます。