「半グレ」とはどういう人たちなのか。龍谷大学嘱託研究員の廣末登さんは「さまざまな形態が十把一絡げに『半グレ』と言われ、実態が見えづらくなっている。NHKスペシャルは半グレを『不良漫画から飛び出してきたアウトロー』のように伝えたが、それは不正確だ」という――。
※本稿は、廣末登『だからヤクザを辞められない 裏社会メルトダウン』(新潮新書)の一部を再編集したものです。
暴排条例が生んだ「半グレ」
(前編から続く)
暴排政策が浸透し、反社の代表格である暴力団は弱体化、離脱者・離脱希望者が増えてきたことを見てきました。構成員数の減少に反比例するように台頭し、事件報道やマスコミ情報を通じて一般人もよく目にするようになったのが「半グレ」です。
暴力団員とは、組長と盃を交わし、組織に籍を置くことで「登録」された存在です。しかし半グレは、イカした名前の付いたグループはあったとしても個人の匿名性が強く、警察当局もどこまでが半グレかを特定することは困難だと嘆きます。
警察によると、このような「暴力団と同程度の明確な組織性は有しないものの、これに属する者が集団的に又は常習的に暴力的不法行為等を行っている、暴力団に準ずる集団」を「準暴力団」と定め、それに準ずる集団と合わせて、実態解明の徹底及び違法行為の取締りの強化に努めているといいます(警察庁「平成30年における組織犯罪の情勢」)。
一方、暴力団離脱後に社会復帰に挫折し、再び非合法活動に手を染めてしまった元暴アウトローも存在します。彼らも半グレと呼ぶべきなのか、別と考えるべきなのか。筆者なりに、一般人以上暴力団未満のあいまいな存在について考察してみました。また、周辺情報と筋からの紹介を集めて、自他ともに半グレと認める人たちの調査を2019年に行いました。