「不毛な対立ではなく、健全な共存をめざす対話を」と朝日社説
次に同じ2月13日付の朝日新聞の社説を読んでみよう。
「対話による緊張緩和を」との見出しを付け、書き出しでこう主張する。
「米国と中国の2大国の関係は、今世紀の世界のありようを左右する。不毛な対立ではなく、健全な共存をめざす対話を心がけてほしい」
「対立」でなく、「共存」や「対話」を朝日社説は訴えるが、これでは習近平のワナにはまる。前述したように習近平氏には魂胆がある。習氏は策略から「対話と協力」をバイデン氏に求めたのである。
どうして朝日社説は習氏のワナが見抜けないのか。得意の理想主義があだになって自らの眼鏡を曇らせている。ニュースに向き合うときには眼鏡を外して真実を見つめることが大切だ。
朝日社説の主張は理不尽な喧嘩両成敗だ
朝日社説は「米中関係は、自国第一主義がぶつかる覇権争いであってはならない。世界の分極化を避けるためにも、双方が利害を共有する領域を広げるべきだ」と主張し、こう指摘する。
「まずは貿易問題である。バイデン氏は中国の『高圧的で不公正な経済慣行』を指摘した。確かに、中国市場の通商障壁などは十分に改善されていない」
「中国は、貿易を恣意的に対外制裁に使う行動も改めねばならない。この点については米国も、前政権のような乱暴な関税制裁は控えるべきだ」
朝日社説は中国を戒めるとともにアメリカにも自戒を促す。理不尽な喧嘩両成敗である。偏った社説だ。自由で民主的な国際社会から見て歪んでいるのは中国だ。ここはまず中国が自らの姿勢を正すべきなのである。