ミャンマーとの関係が深い中国の対応が気になる
ミャンマー(旧ビルマ)で2月1日、国軍によるクーデターが起きた。ミャンマー国軍は全権を掌握し、国軍系のテレビ局を通じて1年間の非常事態宣言を発令した。政権幹部らの身柄は一時、拘束された。民主化を進めてきた国家顧問のアウン・サン・スー・チー氏(75)は自宅に軟禁されている。
ミャンマー国軍は昨年11月の総選挙で、スー・チー氏率いる国民民主連盟(NLD)に惨敗したことから一挙に巻きかえそうと、政権奪取を企てたとみられている。
国軍のクーデターに対し、アメリカのバイデン政権が制裁措置を検討していることを表明するなど、欧米の民主主義国家が強く抗議した。しかし、ミャンマーとの関係を深めている中国は批判を避けるなど慎重な対応を続けている。中国の動きが気になる。国際社会は中国の習近平(シー・チンピン)政権から目を離してはならない。
国軍に抗議する大規模なデモが各地で相次ぐ
ミャンマーでは国軍に抗議する大規模なデモが各地で相次いでいる。ミャンマー国軍が設置した意思決定機関の国家統治評議会は8日、最大都市ヤンゴンや第2の都市マンダレーなどを対象に夜間外出禁止令を出した。午後8時から午前4時までの外出や、公共の場での5人以上の集会が禁止となった。
しかし、市民のデモは続き、国軍は警官を使ってデモ隊の強制的な排除を開始。警察部隊とデモ隊が激しく衝突し、多くのケガ人が出ている。警察官に拘束される市民も数多く出た。
報道によると、首都ネピドーでは警官がゴム弾などを発射し、1人が頭を撃たれ重体となった。マンダレーでは警官隊が放水や催涙ガスによってデモ隊を制圧した。
テレビのニュースで数多くの市民が参加する抗議デモの映像を見ていると、民主と自由を求めて香港政府と中国政府に立ち向かった香港市民のデモを思い出す。