中国の動きに敏感で詳しいはずの産経社説の妙な書き方

2月2日付の産経新聞の社説(主張)は「選挙結果を無視した力ずくの権力奪取は絶対に認められない。軍はただちにスー・チー氏らを解放し政治から手を引くべきだ」とミャンマー国軍を厳しく批判した後、中国の影響についてこう言及している。

「これはミャンマー一国の問題にとどまらない。強権行使や人権弾圧を不問とする中国は経済力、軍事力を背景に各地で影響力を広げようとしている」

朝日社説と同様、なりふり構わず自国の利益を優先する中国の動きを懸念している。沙鴎一歩もこの点が心配だ。それゆえ中国を牽制し、動きを封じ込めることを強く求めたい。

さらに産経社説は書く。

「中国はこれを機にミャンマーへ接近しかねない。中国にとりミャンマーはインド洋の出入り口となる。日本が重視する『自由で開かれたインド太平洋』にとって、ミャンマーが中国の影響下に入ることは望ましくない。民主主義が強権主義の前に危機にさらされているとの認識が必要である」

中国の動きに敏感で詳しいはずの産経社説にしては妙な書き方をする。すでに中国はミャンマーに接近しているし、ミャンマーは中国の影響下にある。パイプライン建設や武器の輸入の話などを考えれば、ミャンマーと中国の関係の深さは分かるはずだ。朝日社説も「経済協力と共に『運命共同体の構築』をうたうほど、両国関係は緊密だ」と書いている。

「これを機にミャンマーへ接近しかねない」という書き方は読者のミスリードを招く表現ではないだろうか。

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