「米国の立場を明確にしたことを評価したい」と産経社説

2月13日付の産経新聞の社説(主張)は、米中初の会談でのバイデン氏の発言についてこう指摘する。

「習氏に直接、中国の非を戒め、米国の立場を明確にしたことを評価したい。日本など同盟国は一層の対中結束で呼応すべきだ」

バイデン氏は中国を「最も重大な競争相手」として一目置いている。そのうえで直接、習近平氏に苦言を呈したのである。これは産経社説が後半で指摘しているように「旧知の仲」だからこそできたことだ。さすがの対応ではあったが、そこを割り引いて評価する必要がある。

ちなみに産経社説は二人の関係について、「(バイデン氏は)副大統領時代の2011年に訪中し、当時国家副主席だった習氏と対話を重ね、翌12年の習氏訪米の際は、ホスト役を務めた」と説明している。

どこから見ても中国の行動は歪んでいる

産経社説は習氏の言い分を「習氏は『台湾や香港、新疆ウイグル自治区の問題は中国の内政』」であり、『中国の核心的利益を尊重すべきだ』と反発した」と書いた後、次のように批判する。

「だが、これらは全て、内政問題では済ませられない。台湾威嚇は日本を含む地域の安全を揺るがす。香港の民主派弾圧は『一国二制度』の国際公約違反である」

「台湾威嚇」に「香港の民主派弾圧」。どこから見ても中国の行動は歪んでいる。

産経社説はさらに批判する。

「首脳会談で習氏は『互いの政策の意図を正確に理解し、誤解を避けるべきだ』と指摘した。だが、中国の政策のどこが誤解されているというのか。南シナ海の軍事化など力ずくの海洋進出の意図が覇権追求でなくて何なのか」

産経社説は見出しでも「覇権追求『誤解』ではない」と主張しているが、自国の不正行為を正当化するために「誤解」という言葉を持ち出す習近平氏の論理はおかしい。

産経社説は最後に「中国は首脳の個人的な関係を含め、あらゆる外交資源を駆使し、米国の対中姿勢をやわらげようとしてくるだろう。日本は米中関係を注視し、バイデン政権が揺らがぬよう支えねばならない」と日本政府に注文する。

菅義偉政権はバイデン政権が中国に隙を見せぬよう、助言を惜しんではならない。