“自然発生”がキーワード
無理にブームや意味をつくろうとすると、ダジャレで一時的な笑いをとれても、それで終わってしまいます。キットカットと同じころ、「コアラのマーチ」も「コアラは寝てても木から落ちない」ということで受験生のお守りになりましたが、こちらは比較的、自然発生的でした。完全にあと出しジャンケンだったのがポッキー。「ポッキーで吉報」というコピーを考えた人は天才だと思いましたが、なかなか浸透しませんでした。
ロッテの「ガーナ」が、パッケージの赤とカーネーションの赤を記号的に結び付けて「母の日チョコ」のキャンペーンを毎年続けていますが、それほど広がったとは聞いていません。自然発生ではなく、マーケティングだけで「母の日にチョコレート」というまったく新しい意味付けを作り上げるのはなかなか難しいのかもしれません。
決して自分たちがつくった意味を押し付けないこと。これが季節のイベントや新しい意味を定着させるときの鉄則ではないでしょうか。
(構成=長山清子)