リーダーとして方向性を示してもメンバーが言うことを聞いてくれない……。リーダーや管理職の多くが抱えるこの悩み。マーケティングのプロとして、さまざまなプロジェクトを牽引してきた桶谷功さんが勧める“押し付けられた感”のない絶妙な誘導の仕方とは――。
メンバーが言うことを聞いてくれない悩み
こんにちは、桶谷功です。
先日、若い人からこんな相談を受けました。
「初めてプロジェクトリーダーになったのですが、私が『こうしたら?』と方向を示しても、みんな言うことを聞いてくれません。これからどうやって、みんなを引っ張っていけばいいでしょうか?」
私もマーケティングの専門家としていろいろなプロジェクトを進めていますが、人を動かすのは本当に難しいものです。できればこちらの考えを押し付けることなく、メンバーみずから動いてもらいたいけれど、「こうしたほうがいいですよ」と言うくらいでは、誰も動いてくれません。これは私にとっても長年の悩みの種でした。
「質問」でうまく誘導する
しかしあるとき会議でファシリテーターを務めることになり、思い切って話し方を変えてみたら、メンバーがそれぞれ自発的に動いてくれるようになったのです。
どんなふうに話し方を変えたかというと、「質問」をするようにしました。質問をするだけで、自分の思う方向にみんなを導けるようになったのです。
たとえば、ある商品のメインターゲットを決める話し合いをしているとしましょう。このままでは「男性」をターゲットにすることに決まりそうな雰囲気です。しかし自分としては「女性もアリ」だと思っている。こんなときはストレートに「女性もターゲットとして考えたほうがいいと思いますよ」と言ってしまいがちですが、この言い方では、言われたほうにどうしても多少の「押し付けられた感」が生じてしまいます。
ところがこれを、質問の形で投げかけてみたらどうでしょう。