これ以上、「おじさん」に誰かの魂を削ってほしくない

この国から「おじさん」が消える——。小説『持続可能な魂の利用』の帯にはピンクの文字でただならぬコピーが書かれていた。それを読み、私はガラガラになった国会を思い浮かべた。「おじさん」が消えると、企業トップたちの部屋も静寂な場所になるだろう。

『持続可能な魂の利用』著者の松田青子さん(2020年10月、筆者撮影)。
持続可能な魂の利用』著者の松田青子さん(2020年10月、筆者撮影)。

——カッコつきの「おじさん」は、今の社会システムを象徴する言葉として使っています。一人一人を批判していません。

著者の松田青子さんはそう説明する。

小説で使われている「おじさん」という言葉に年齢は関係ない。そして、女性の中にも「おじさん」は存在するという。なぜなら、社会が女性にも「おじさん」になることを推奨しているからだ。