日本に夢をみた……ベトナム人技能実習生の卒塔婆が並ぶ寺

埼玉県本庄市の大恩寺では行き場を失ったベトナム人技能実習生達が生活している。夜中、彼らは布団の中でスマホと向き合ったり、思い思いの時間を過ごしていた。

大恩寺に幼馴染みの遺骨を持ってきたホアさん。在日ベトナム仏教信者会会長の尼僧ティック・タム・チーさんが優しく肩に手を置いた途端、大粒の涙が流れた。(筆者撮影)
大恩寺に幼馴染みの遺骨を持ってきたホアさん。在日ベトナム仏教信者会会長の尼僧ティック・タム・チーさんが優しく肩に手を置いた途端、大粒の涙が流れた。(筆者撮影)

「詩織さん、今お骨を持った方が到着したみたいです」。さっきまでコタツでうとうとしていた尼僧のティック・タム・チーさんがそう言うと慌てて外に出た。技能実習生らも本堂に集まり、運ばれてきた遺骨に祈りを捧げた。

本堂には若くして一生を終えたベトナム人の卒塔婆が並ぶ。その多くは技能実習生や留学生だ。

遺骨の男性は20代だという。遺骨を持参した幼馴染みのホアさんは最後に彼に会ったときを話す。

「日本で働くのが夢で、日本に来てから本当に一生懸命でした。最後に会ったときはアパートを見せてくれました。壁一面に漢字が書かれた紙が張ってあり、日本語を早く習得しようと頑張っていた」。数カ月後、男性は自宅の階段の下で倒れているのを発見された。

技能実習制度は開発途上国に日本で学んだ技能や知識を持ち帰り、それを母国で生かしてもらう国際貢献を目的としたものだが、一部の実習先の劣悪な労働環境が問題となっている。耐えかねて失踪する人、生活に困り犯罪に手を染める人、過労死する人もいる。