日韓首脳の会談は昨年12月以来だったが…

菅義偉首相が9月24日、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領と20分間、就任後初めての電話会談を行った。日本と韓国の首脳同士が会談するのは昨年12月以来のことで、関係の悪化からしばらく行われていなかった。

韓国の文在寅大統領がソウルの事務所で日本の菅義偉首相と電話で話をしている様子=2020年9月24日
写真=AFP PHOTO/青瓦台
韓国の文在寅大統領がソウルの事務所で日本の菅義偉首相と電話で話をしている様子=2020年9月24日

会談の途中で、菅首相から元徴用工の訴訟問題に触れ、「非常に厳しい状況にある両国関係をこのまま放置してはならない」と文大統領に解決のための対応策を求めるとともに韓国側の努力を促した。

韓国大統領府の発表によれば、菅首相のこの求めに文氏は「両国政府と全ての当事者が受け入れられる最適の解決策を共に模索することを望む」と応じたものの、「日韓の間には立場の違いがある」とこれまでの考えを繰り返した。

菅首相が先手を打って文氏に釘を刺したのは評価できる。外交の秘訣は先手必勝だ。会談後、菅首相は記者団に対して「日本の一貫した立場に基づいて今後も韓国に適切な対応を強く求めていきたい」と述べた。これからもその姿勢を変えず、文政権に屈しないでほしい。

なぜ、文政権は駄々っ子のように自説を変えないのか

間違っているのは文政権である。2018年10月、日本の最高裁に当たる韓国大法院が日本企業に賠償を命じる判決を下し、資産を差し押さえた。これが元徴用工問題の始まりだった。

日本政府は1965年の日韓請求権・経済協力協定で賠償問題は解決済みとの立場を主張したが、文政権は司法判断をそのまま追認し、日本側の主張を真っ向から否定した。これまでに日韓の外交ルートを通じていくつかの妥協案も出たが、どれも問題の解決には結び付いていない。

差し押さえられた資産の現金化の手続きは着々と進んでいる。日本企業の差し押さえ資産が現金化にされると、日韓関係に大きな亀裂が生じる。それだけ事態は深刻なのである。

なぜ、韓国の文政権は駄々っ子のように歪んだ自説を変えないのか。8月11日の記事「『徴用工問題』を解決するには、文在寅大統領に辞めてもらうしかない」でも指摘したが、文氏の脳裏には日本を永遠の敵とみなす敵対感情の「反日種族主義」がある。文氏は韓国民の反日種族主義をテコに4月15日の総選挙で圧勝し、さらには2022年春の大統領選でも絶対的勝利を得ようと画策している。