住民投票は「10月12日告示、11月1日投開票」に決定
大阪市を廃止し、代わりに4つの特別区を新設する「大阪都構想」の制度案が9月3日の大阪市議会で採決され、賛成多数で可決された。8月28日の大阪府議会でも可決されていることから、2015年5月以来2度目の住民投票が実施される。大阪都構想の是非を問う住民投票について大阪市選挙管理委員会は「10月12日告示、11月1日投開票」と決定した。
住民投票は18歳以上の大阪市民が対象だ。賛成多数の場合、2025年1月1日に人口270万人の大阪市が解体され、新たな自治体として人口60万~75万人の「淀川」「北」「中央」「天王寺」の4特別区が誕生する。
最大の焦点は大阪都構想で住民サービスがどこまで向上するかだが、財政状況などで不透明さが目立つ。
2度目の住民投票を決めたのは「公明党の政治的思惑」だった
大阪都構想は、大阪府と大阪市の二重行政の問題を解消するのが本来の目的だ。東京都をモデルに交通基盤整備などの広域行政を大阪府に一元化し、福祉や子育てなど住民サービスを特別区に担わせる。
地域政党の大阪維新の会を創設した元大阪市長の橋下徹氏によって提案され、2015年に住民投票が実施された。しかし、僅差で否決され、結局、橋下氏は政界を引退した。
昨春、後を引き継いだ大阪維新の会代表の松井一郎氏と代表代行の吉村洋文氏が、知事・市長のダブル選を仕掛けてともに当選した。公明党がこの圧勝を見て大阪都構想賛成に方針を転換し、賛成多数で2度目の住民投票が決定した。
公明党の方針転換がなかったら住民投票までこぎつけなかったわけだが、なぜ公明党は方針を変えたのか。公明党は大阪府内の衆院小選挙区で全国最多の4議席を持つ。その公明党が次の衆院選挙で勢いを見せることが予想される大阪維新の会(日本維新の会)と対決して票を減らすことを避けたのだ。
つまり公明党の政治的思惑で決まったことなのである。