発射の事前察知が難しく、核弾頭も搭載できるミサイル

8月26日、中国が中距離弾道ミサイル4発を南シナ海に撃ち込んだ。4発のミサイルはいずれも中国大陸部から発射され、海南島とパラセル(西沙)諸島の洋上に着弾した。アメリカに対し、攻撃能力の向上を見せつける作戦だった。

中国の弾道ミサイル「東風26」=2019年10月1日、(中国・北京)
写真=EPA/時事通信フォト
中国の弾道ミサイル「東風26」=2019年10月1日、(中国・北京)

報道によると、中国軍が同海域で24日から29日に実施した軍事演習の一環として行われたもので、発射されたのは射程1500キロ以上の「東風(DF)21D」と、射程4000キロの「DF26B」。2つのミサイルはいずれも空母を攻撃できる対艦弾道弾である。

とくにDF26は南シナ海だけでなくアメリカ軍の基地があるグアムも射程に入り、「グアムキラー」と呼ばれる。移動式の発射台から飛ばすことができ、発射を事前に察知することが難しい。しかも核弾頭が搭載でき、目標に命中しなくても核爆発によって周囲に大きな打撃を与える。アメリカにとって大きな脅威である。

新型コロナウイルス感染症の世界的流行(パンデミック)のなかでも、中国はアメリカに対して自国の軍事力を見せつけながら、着々と軍事力を強化している。アメリカは11月の大統領選で国内の政治が落ち着かない。その隙をつきたいのだろう。

中国に歯止めを掛けられるのはアメリカしかいない

中国が南シナ海に弾道ミサイルを発射した翌27日、アメリカはミサイル駆逐艦のマスティンをパラセル諸島に急行させ、南シナ海での中国の動きを牽制した。アメリカ艦艇による「航行の自由作戦」と呼ばれる軍事行動で、これまでも中国の強引な海洋進出に警告を発する意味で、度々実施している。

たとえば7月にはマイク・ポンペオ国務長官が南シナ海での海洋権益主張に対し、「不法だ」との声明を発表するとともに、2回、南シナ海に空母の航空戦力を柱に巡洋艦や駆逐艦、潜水艦を編成するいわゆる空母打撃群を派遣して演習を行った。

しかしながら、中国は「アメリカが緊張感を高めている」との主張を繰り返している。アメリカの航行の自由作戦は今年、これまで以上の頻度で行われそうだ。

中国の軍拡に、軍事的に歯止めを掛けられるのはアメリカしかいない。ここはアメリカの頑張りに期待したいところだ。