人間の体にとってワクチンは「異物」である
いよいよ新型コロナウイルス対策の核心にワクチンが入ってきた。しかし、ワクチンで一番気を付けなければならないのが深刻な副反応、つまり健康被害である。
ワクチンによる予防接種とは、病原体(ウイルスや細菌など)の毒性を弱めたり、あるいは分解して不活化したりしたかけらを健康な人の体に注射し、体の抗原抗体反応を利用して感染を防ぐ方法である。
人間の体にとってワクチンは異物だ。そのため副反応が起きる。注射した上腕部が赤く腫れる程度ならまだいいが、場合によっては重篤なアレルギー反応を引き起こして死亡する危険性もある。子宮頸がん予防ワクチンに対していまだに「接種反対」の声が強いのも、副反応とみられる被害があったからだ。
ロシア製ワクチン「スプートニクV」は本当に安全なのか
ロシアのプーチン大統領が8月11日、新型コロナの予防接種について「ロシア製のワクチンを承認した。世界で初めのことだ。有効性は十分で抗体ができる。8月末から9月にかけてワクチンを医療関係者から投与していく」と発表した。
ワクチンの名前は「スプートニクV」。旧ソ連が1957年に打ち上げた世界初の人工衛星スプートニクにちなんだ名前だ。プーチン氏はワクチン開発でもアメリカを打倒し、世界のワクチン市場に打って出たいのだろう。
しかし、新型ウイルスのワクチン開発は、これまで早くても2~3年はかかるといわれてきた。新型コロナが中国湖北省武漢市で最初に感染拡大を引き起こしてからまだ1年も経たない。遺伝子工学技術の急速な進歩でワクチンの製造過程がかなり短縮できるようになったとはいえ、沙鴎一歩は「早過ぎて危ない」と懸念する。
報道によると、ロシアのワクチン開発は、モスクワのガマレヤ国立疫学・微生物学研究所が国防省の協力で実施し、臨床試験では軍人が次々と投与を受けた。10月にもワクチンの大量生産ができる見通しだ。アジアの国々のほか、南米や中東がロシア製ワクチンの購入に強い関心を見せ、現在20カ国から計10億回分以上の注文を受けているという。