「桜井誠総理」誕生というシナリオ

1923年のミュンヘン一揆の際、逮捕・投獄されたヒトラーが、まさかその10年後にドイツの首相となり、ヒトラー内閣を組閣して瞬く間にドイツ全土を掌握したことを信じる者は当時誰一人として居なかったであろう。

事程左様に、政治や歴史とは、わずか10年であっという間に激変するモノである。そこで、こういう妄想をしてみる。今般の東京都知事選挙で前回都知事選挙(2016年)から約1.5倍の得票伸長をした元在特会(在日特権を許さない市民の会)会長で日本第一党党首の桜井誠氏がこの国の総理大臣になったら――。

投票をする男は投票箱をする
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あり得ない想定だが、「絶対に天地がひっくり返っても可能性はゼロである」というのも、遺憾ながら目下の社会情勢に鑑みるとそう断言することはできないのではないか。何しろ自民党は「LGBTには生産性が無い」とか「(性暴力被害者である)伊藤詩織さんにも(性被害の)責任がある」などとBBCに対し堂々と開陳してはばからない杉田水脈氏を衆議院比例中国から公認しているほどの党であるのだから、遠い将来桜井氏を公認しないとも限らない。

本稿ではこの「あり得ない(だろう)世界線」をあるものと想定して書き進める。なお、自民党は与党として未来日本においても存続し続けるという悪夢のごとき前提条件をも付加しておく。ある種の思考実験である。