2030年代、移民の増加で分断が加速
まず憲法の規定により総理大臣は衆参両院における首班指名によって選出されるので、桜井氏が総理大臣になるためには衆参どちらかの国会議員になる必要がある(衆院指名が当然優先)。桜井氏は現在1972年福岡県生まれの現在48歳だが、まず今般都知事選挙における約18万票の獲得票数からして、都知事になることは到底ないだろうが、区議会議員については余裕で当選水準をクリアしている。
桜井氏の政治家としてのキャリアは東京都区における諸派区議会議員からスタートすると仮定して、1期を務めたのち都議会議員に転身しさらにもう1期務めたと仮定すると大雑把な計算で氏は56歳。日本は西暦2027~28年とする。そこから衆議院解散のタイミングに併せて自民から公認を受け、衆院比例東京ブロックで出馬し、何とか当選する。国会議員桜井誠氏の誕生である。
さらに次の衆院解散でも再選すると衆院解散タイミングを3年として+6年で桜井氏は62歳。西暦では2032年~2033年。この時点で桜井氏が衆院議員を2期やるとなると、日本の社会情勢は末期的である。桜井氏の主張する外国人排斥は現在、妄想的で根拠に基づかないものだが、2030年代初頭の日本にあっては実習生という名の実質的な移民が加速度的に増え、総人口の5~10%に迫り、移民とその子孫が都市部でコロニーを作ったり、日本人の正規雇用を簒奪したりしているという欧米型の多文化社会の負の側面がいよいよ社会階層の全てを巻き込んで表出していると考えねばならず、桜井氏と似たような思想を持つ議員が自民党の中ですでに一派閥程度の規模にまで成長しているとする。
2045年、桜井誠が総理に
そうして現在では陰謀論や妄想に基づく外国人排斥が、日本社会のあらゆる階層に於いて「現実社会の生活実感」として認識されるとき、桜井氏の主張もまた「正しいのではないか」と受け止める有権者も増えよう。2040年。国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば日本の総人口は現在よりマイナス1500万人程度の1億1000万人程度になっている。が、一方でこれに対して1000万人の移民とその子孫が存在して総計で人口を1億2000万人とすると、非日本人人口は総人口の8~10%になる。
いよいよ移民とその子孫の権利や主張を代弁する政党や政治家が現れてくる。こうしたことを危機と受け止める日本人有権者は増え続ける。自民党は主義主張の全く違う社会党の村山富市を「政権奪取」というただその一点に於いて自社連立というミラクルCをやってのけ、首班指名した「前科」があるのだから、桜井氏を首班指名しないという保証はどこにもない。西暦2045年。桜井氏は73歳。超高齢化社会にあっては、定年規定さえ外せばまだまだ国会議員として現役である。衆院当選を重ね、もはや自民党内でも中堅から重鎮になりつつある桜井氏が首班指名され総理大臣となる。