預貯金一筋にこだわってきて本当に良かったのか…後悔の日々
年代を問わず「投資は怖い」とイメージを持つ人が少なくない。その一方で、“人生100年時代”を見据えて、健康寿命だけでなく資産寿命の延伸が重要な課題となりつつある。今や女性誌やファッション誌にまで、マネー特集として、NISAやiDeCoなどが取り上げられるようになった。
そのためか、「投資はしなければいけないもの」などと、なかば強迫観念に駆られたり、「預貯金だけでは損をする」と思い込んでいたりするケースもあるようだ。
今回のコラムでは、やはり、投資はすべきなのか? そして、預貯金だけでは、本当に損をしてしまうのか? について考えてみたい。
山下洋一郎さん(62歳)は、一昨年、定年退職を迎えた。大学卒業後、大手メーカーに勤務し、海外駐在なども経験。それなりの会社員人生だったと思っている。
現在は、継続雇用で働いており、年収約400万円とずいぶん減ったが65歳まで働ける予定だ。住宅ローンは完済しているし、長女(34歳)と次女(31歳)は、すでに結婚して子どももいる。二人とも共働きで、仕事と家事・育児の両立は大変そうだが、近所に住んでいるので、何かと安心だ。
妻(60歳)は、ずっと専業主婦だが、カルチャースクール通いや、町内会のボランティア活動などで忙しい。最近は新型コロナウイルス感染予防のため、外出はほとんどしておらず、代わりに、友人に勧められた韓流ドラマにはまったとかで、ずっとテレビの前にくぎ付けである。
さて、そんな穏やかな生活を送る山下さんが、今もっとも頭を悩ませているのが、投資についてである。