失敗して「二度とやりたくない」となる場合も

結局、投資に対して「怖い」「わからない」「難しい」といったネガティブなイメージばかりが先行し、ちょっと、やる気を出してチャレンジしてみても、自分のニーズやリスク許容度に合った金融商品選びができない(いわゆる金融機関で勧められた商品をそのまま購入してしまう)。

予想以上の損失が出たり、思っていたような収益が得られなかったりして、「二度とやりたくない」となってしまう。

ということで冒頭の問いに戻るが、投資は家計改善の救世主ではない。節約と違って、やれば必ず成果がでるものではなく、やるからには、今の時代を取り巻く社会環境や経済状況、保有する金融商品、投資に対する基本的な知識を習得し、自分の投資の目的やリスクを把握していることが前提である。これができない、やりたくないというのであれば、ムリにやる必要はないと筆者は思う。

しかし、その場合、やらないことのデメリットはしっかり肝に銘じておくべきだ。

預貯金だけに固執することによる3つの損

投資をしないことによるデメリット、つまり、預貯金しかしないことで3つの損が生じる。1つ目の損は、預貯金では、大きな収益を得られないということ。収益にはキャピタルゲイン(値上がり益)とインカムゲイン(利子・配当)の2つがあり、預貯金の収益源は後者のみである

しかも、今やメガバンクの普通預金の金利は0.001%しかない。仮に、ネットバンクなどの定期預金0.1%に、毎月1万円、積立期間20年で積立した場合、積立金額242万4059円で、運用収益はわずか2万4000円。

一方、同条件の積立を、想定利回り(年率)1%で行った場合、積立金額265万5612円で、運用収益25万6000円と10倍以上の収益が得られる。

積立金額を増額し、運用期間も長く、金利も高くすれば、さらに収益は増える。

さらに見落としてはいけないのが、原則として、金融商品の収益には税金も課せられている点だ。税率は一律で、所得税15%+地方税5%。これに2013年から復興特別所得税0.315%が上乗せされ、合計20.315%が差し引かれている。

NISAやiDeCoであれば、一定額までは、これが課税されない。このメリットがいかに大きいかお分かりいただけるだろう。

続いて2つ目の損はインフレリスクによって、お金の価値が変わってしまうこと。

1970年1月から2020年5月までの消費者物価指数(CPI)を比較すると、3.32倍の物価上昇がみられた。近年はデフレ傾向が続いているので、実感が湧かないかもしれないが、政府は、インフレターゲットとして2%の物価安定を目指している。これが実現すれば、元本が変動しない預貯金といえども、実質的に価値が目減りして損をしているのと同じことというわけだ、