文法を覚えるよりも、例文を覚えたほうがいい

【三宅】ほかにはおすすめの勉強法はありますか?

【清水】文法が苦手という人は多いと思いますが、文法についてはあまり難しく考えずに、いろんな例文を丸ごと覚えていったほうがいいと感じています。

【三宅】最近の高校の授業は、コミュニケーション重視・文法軽視と聞いたことがありますが、実際はどうなのでしょう?

【清水】いや、少なくとも私が経験した学校ではどこも文法重視です。

しかし、この文法の授業についていけずに脱落する子が圧倒的に多いのです。たとえばいわゆる5文型を習うとき、「これが主語、これが動詞、これが補語、これが目的語」と出てきますが、そこでつまずく生徒が非常に多い。でも、どれが補語で、どれが目的語で、どの動詞が自動詞か他動詞かといった話は、別に覚える必要はないと思います。

たとえば「discuss(討論する)」という動詞は「discuss the problem(その問題について討論する)」というフレーズで丸ごと覚えておけば、「discuss」が他動詞だということが自然にわかるわけですよね。そのとき、「the problem」は目的語だということを知る必要はまったくない。それにもかかわらず、そのあたりを頑なにこだわる先生が多いのです。

【三宅】たしかに5文型をやりだすと、コミュニケーションの手段としての英語というより、お勉強のための英語になってしまいますからね。

【清水】だから、すべての文法的な要素が入った例文を、100個でも200個でもいいのですが、それを徹底的に覚える。もちろんその際は音読しながら覚える。これを続ければ、自然と文法的な知識も身に付くはずですし、ある程度のパターンを頭に叩き込んでおけば単語を入れ替えることによって表現の幅は簡単に広げられますからね。

学問に王道なし

【三宅】最後に全国の英語学習者にメッセージをお願いします。

【清水】英語のことわざに“There is no royal road to learning.”(学問に王道なし)とあるように、英語の勉強にも王道はないと思います。

人それぞれ目標や特性が違うわけですから、勉強の仕方が異なって当然です。ですから、とくに若い方は、まずは焦らずに、自分に合った勉強方法はどういうものなのかを試行錯誤を繰り返しながら見つけていただきたいと思います。一見回り道のようにみえて、それが一番確実ではないでしょうか。ただし、先ほども言ったように、ひとつの教材を最後までやり続けた上で合う・合わないを判断してほしいです。

【三宅】そこは重要なポイントですね。

【清水】はい。学校の先生の言うことが絶対だと思う必要もありません。一回やってみて「自分に合わない」と思ったら、別の方法を考えればいいのです。

それが見つかったら、あとは「継続は力なり」という言葉を信じて、頑張ってほしいですね。

【三宅】本日は貴重なお話をありがとうございました。

英語教材開発者の清水建二氏(左)とイーオン社長の三宅義和氏(右)
撮影=原 貴彦
英語教材開発者の清水建二氏(左)とイーオン社長の三宅義和氏(右)
(構成=郷 和貴 撮影=原 貴彦)
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