若い英語の先生たちへのアドバイス
【三宅】グローバル化の時代にあって、学校の英語教師の役割も重要になってくると思いますが、これから英語の教員を目指そうと思っている若者に対して、何かアドバイスはおありですか?
【清水】実際、私の教え子で英語の教員をしている人は結構いるのです。しかし、基本的に中学や高校に入ると、先生たちは部活動など英語以外の仕事で時間が取られてしまいます。そして英語の勉強が疎かになってしまう。
だから一番強く言いたいのは、「どんな状況に置かれても自分の英語の力を高めていけるような努力をしてほしい」ということですね。
【三宅】先生ご自身はどんなことをされましたか?
【清水】通訳案内士の資格を取りました。
【三宅】当時はかなりの難関試験でしたよね?
【清水】はい。実は2校目に赴任したとき、自分が学生時代に抱いていた教員のイメージとのズレがあまりに大きくなってしまい、一時真剣に退職を考えていた時期があったのです。それで前々からやりたいと思っていた通訳ガイドの仕事に転職しようと思い、1年間、死に物狂いで勉強をやりました。これまでの人生を振り返ってみても、あの1年間が一番勉強しましたね。
【三宅】そうでしたか。でも、結局は教員を続けられましたよね。
【清水】はい。試験に合格して鼻息荒く大手旅行会社の面接に行ったのですが、どこに行っても「いま、高校の先生でいらっしゃるのでしたら、絶対に辞めないほうが良いですよ。うち、そんなに給料を出せませんから」と言われまして(笑)。当時は小さい子供が2人いて、妻も専業主婦だったので、あきらめました。いま思うと、あのとき教員を続けて良かったなと思います。勉強したこともまったく無駄になっていませんから。
目移りしないで、ひとつの教材をやりきる
【三宅】清水先生がご自身でなされてきた学習法の中で、今の中高生におすすめというものはおありでしょうか?
【清水】学習法というものは、人によりけりだと思いますが、私の経験的にいうと、やはり「ひとつの教材を徹底的にやりきる」というのがいいと思います。
いまの時代、本でもネットでも教材はいくらでもありますから、目移りしてしまう気持ちはわからないでもないのですが、あえてひとつに絞って、「これだけは全部やったぞ」と自信を持っていえるくらいやり尽くす経験をすると、英語に対する自信につながってくるのではないかと思います。
【三宅】私も同感です。リスニングなどはどうやって鍛えたのですか?
【清水】三宅社長もそうだったはずですが、当時はリスニングの勉強をしようと思っても教材が全然ありませんでした。
【三宅】本当に限られていましたね。
【清水】だから私が高校に入ってからは、文化放送のラジオ番組『百万人の英語』をひたすら聴いていました。あと田崎清忠さんが講師をやられていた時代のNHKテレビの英会話も毎回観ていたのですが、その田崎さんが作られていた教材を、お小遣いを貯めて買いました。若い人は知らないと思いますが、ペラペラのレコード、ソノシート版です。
【三宅】懐かしいですね。それを聴きながら、一緒に声に出して読まれたとか?
【清水】そうですね。指示も全部英語でやってくれたので、その指示まで一緒にしゃべるくらい徹底的に聴きこみました。