※本稿は、坂本昌也『世界中の研究結果を調べてわかった!糖尿病改善の最新ルール』(あさ出版)の一部を再編集したものです。
40代からは“回復力”が遅くなる
糖尿病とうまく付き合っていくには、まずは敵を知ること。
敵の状態を知るうえで欠かせないのが検査です。日本の場合、会社勤務の人は会社が実施する健診、それ以外の人は自治体が実施する健診を定期的に受けられます。
40代になると、健診で何かしら引っかかる人が一気に増えます。統計的にもおよそ6割強が「要経過観察」や「要精密検査」と判定され、中性脂肪、体重、肝機能、血糖値、血圧など、どれかしらの数値が基準を超えるケースが多いです。
これは体が急に弱ったというより、20代、30代から積み重ねてきた生活習慣の影響が体にあらわれてきたと考えたほうがいいでしょう。若い頃なら徹夜や暴飲暴食をしても平気だった体が、40代になると回復力が遅くなる。その「ほころび」が健診の数値としてあらわれ始めているのです。
といっても、基準値を少し超えるくらいの数値では自覚症状はほとんどないことが多いので、気にする人はあまりいないと思います。しかし、ちょっと高い数値が危ないことは、本書や前回の記事でも話した通りです。
“命に関わる臓器”は自覚症状が出にくい
2年前のネイチャー誌の報告では、50歳前後になると誰でも何かしらの臓器の老化が始まっていることが示されています。
家族歴やストレスの有無で早まる人もいれば遅れる人もいますが、遅くても50歳を過ぎれば臓器のどこかがほころび始めるということです。
ただし、ほころび始めたとしても、心臓や腎臓、脳など命に関わる臓器は最後まで守られるため自覚症状が出にくく、あらわれるときはかなり危険な状態です。
心筋梗塞や脳梗塞が「突然」といわれるのはそのためです。
タバコなら本数と年数でリスクを数値化(ブリンクマン指数)できますが、糖尿病や高血圧、脂質異常症は、どれくらいの期間、どの程度の異常があったのか判断するのは困難な場合がほとんどです。
だからこそ健診や積極的な検査で細かく現状を把握することが不可欠なのです。