飽食の時代だが、“20代の栄養不足”が進行中
最近は朝晩の冷え込みが厳しく、秋が深まってきました。みなさんはいかがお過ごしでしょうか。
秋といえば、読書、スポーツ、お月見、紅葉狩り等々、いろいろな楽しみがありますね。私の専門は栄養学ですから、なんといっても「食欲の秋」です。栗、柿、りんご、梨、ぶどう、さつまいも、かぼちゃ、銀杏、さんま、かつお等々、スーパーにもたくさん並んでいることでしょう。旬なものは栄養価が高かったり、価格も安くなることがありますから、季節を感じながら、しっかりと必要な栄養素を体にとり入れていたければと思います。
とはいえ、最近は、技術の進化で1年中食べられる食材も多くなっています。また、忙しい生活をしている方のために、栄養価の高い加工食品もたくさん用意されていますので、「栄養不足」に陥る心配はない……そう思われている方も多いのではないでしょうか。
しかし、油断は禁物です。実は、「飽食の時代」と言われて久しい日本において、とくに社会人になりたての20歳代の栄養不足が進行している可能性があるのです。
図表1は厚生労働省が2025年7月に発表した「令和5年国民健康・栄養調査報告」を基に作成した20〜29歳の栄養素の充足度を示したものになります。男女によってばらつきがありますが、総じて、食物繊維、ビタミンA、ビタミンC、カルシウム、カリウムが不足していることが読み取れます。
「生活習慣病」「高血圧」「骨粗鬆症」…すべてのリスクがあがる
たとえば、食物繊維やカリウムの不足について、厚労省は「日本人の食事摂取基準(2025年版)の策定ポイント」で次のように記しています。
「食物繊維は摂取不足が生活習慣病の発症に関連するという報告が多い」
「少なくとも1日当たり25~29gの食物繊維の摂取が、様々な生活習慣病のリスク低下に寄与すると報告されている」
「高血圧の重症化予防のためには、発症予防のための目標量よりも多くのカリウムを摂取することが望まれる」
一般的には、食物繊維は整腸効果、ビタミンは皮膚や粘膜等を正常に保つ役割が期待されますし、カルシウムはご存じの通り不足すると、骨粗鬆症のリスクがアップすることに加え、近年ではフレイルリスクにもつながるとされています。
カリウムについては厚労省が示したように、とりすぎた塩分の排泄にも重要な栄養素です。加工食品などで塩分をとりすぎる現代人にとっては、血圧を正常に保ち、高血圧の予防や重症化させないためには不可欠です。


