2025年11月に、プレジデントオンラインで反響の大きかった人気記事ベスト3をお送りします。仕事術部門の第3位は――。
▼第1位 ほめられた時に三流は「ありがとう」、二流は「とんでもない」と言う…頭のいい一流のスマートな返し方
▼第2位 「ごめんなさい」はむしろ逆効果…市役所が困り果てた「クレーマー市民」を1分で撃退した新人職員の神対応
▼第3位 資産運用でも健康維持でもない…佐藤優が50歳を過ぎたら「決しておろそかにしてはいけない」と話すこと
※本稿は、佐藤優『定年後の日本人は世界一の楽園を生きる』(Hanada新書)の一部を再編集したものです。
同窓会こそ定年後の最強ネットワーク
同窓会に出席し、それが契機になって、年に何度か会うようになる人がいるかもしれない。すると、予想もしない有益な情報が得られることがある。あるいは、その人物が仕事を回してくれたり、安い住宅物件を紹介してくれたり、おカネの工面をしてくれたり……
同窓会をきっかけに、こうしたある種の協力関係が生まれることがある。
なぜか? 定年後の人たちは、みな、ある分野のスペシャリストになっているからである。
また「シェアリングエコノミー」という観点からも、こうした人的ネットワークは重要だ。たとえば自動車のことを考えてみると、個人で所有しているケースでは、維持費や税金に関する負担が大きい。が、これを何人かで共有すれば、負担がはるかに軽くなる。
社会保障制度が劣化し、十分な保障を期待できないなか、こうした横のつながりを重視すべきだろう。そのきっかけが、同窓会なのだ。
同窓会で旧交を温め、ネットワークを再構築する。かつて多感な時期に共同生活を送ってきた人たちとのつながりは、想像以上に強固なものである。これほど強い人脈はない、と言っても過言ではないだろう。
現在のような厳しい時代だからこそ、みなでスクラムを組み、力を合わせて生きるのだ。
旧友と再会し、共に生きるという喜び
聖書には〈喜ぶ人と共に喜び、泣く人と共に泣きなさい〉(「ローマの信徒への手紙」一二章一五節)という言葉がある。イエスの教えの重要な部分は、人々が幸せを分かち合い、共に生きることだ。そしてそれこそが、人間の幸福を実現する究極の姿だ、と説く。
日本の社会と経済が大きく変貌するなか、同窓会で再会した旧友と心を通わせ合い、共に生きる――これによって喜びを実感できるようになるかもしれない。
50歳を過ぎたころから同窓会の案内が届くようになったことは、定年後の人たちなら、お気づきのことだろう。そのころになると子どもも独立し、時間的な余裕も生まれる。そうしたこともあるので、幹事さんも同窓会を開こうと思うのだろう。
ただし、その心の底辺にあるのは、やはり青春時代を共に謳歌した人たちと楽しみを共有したい、という心理だろう。
ビジネスパーソンになってから出会った人たちと信頼関係を築くには、かなりの時間と労力が必要だ。であれば、新たな人脈を開拓するよりも、かつての古い関係を「再開拓」するほうが効率的だろう。

