感染大爆発で混乱しきりの日本
「なんじゃこりゃあ!」
名俳優・松田優作氏ばりにそう感じた方々は多いだろう。国が新型コロナウイルス感染症の緊急事態宣言を解除し、社会経済活動との両立を図る「新しい日常」をうたったのは5月下旬のことだった。安倍晋三総理は「おおむね収束」と表明して安心感を振りまき、菅義偉官房長官もマスクを外すアピールまでしてみせた。だが、その約1カ月後から新規感染者数は再び増加に転じ、多くの都道府県では感染者数が過去最多を更新。他の自治体でも高水準で推移しているというのだから、ネジを緩めるタイミングを間違えたのは明らかだろう。
もちろん「リスクがゼロ」という社会はなく、経済活動との両輪を回しながら対策を講じていく必要性は理解できる。とはいえ、この国では肝心要であるはずの「基準」というものがいまだ示されていないのである。4月の宣言発令時と今とでは何が違い、どのように生活すれば良いのか。指標と見るべきは新規感染者数なのか、陽性率なのか、重症者数なのか、それとも医療提供体制なのか。安倍政権から発せられるものからは判然としない。むしろ、このタイミングで示されたのは「どんどん旅行に行きましょう!」というもので、まじめに自粛してきた人々の感情を逆撫でするようなキャンペーンだ。感染が再爆発した今、これまでのコロナ対応とともに中間評価を下す。