250億円で8000万枚のマスクの意味不明さ
「現在確かに感染者数は増えているから高い緊張感を持って注視をしているが、あの時とは状況が異なり、再び今、緊急事態宣言を出す状況にはない」
安倍総理は7月24日、このように語った。国の観光需要喚起策として「Go To トラベルキャンペーン」なるものが始まったのは7月22日。この日は一日のコロナ感染者としては4月11日の720人を上回り、過去最多を記録した。もはやブラックジョークだろう。23日からの4連休についても、菅官房長官は「『3密(密閉、密集、密接)』を避けるなど感染防止策を徹底してほしい」と呼び掛けるばかりで、国の無策ぶりが目立つ。
これまでのコロナ対応を振り返ると、安倍政権の後手後手でメチャクチャな対応は枚挙にいとまがない。コロナの「震源地」となった中国や感染拡大していた韓国からの入国制限が遅れ、唐突に打ち出した全校一斉の休校要請で教育現場や家庭、子供たちは混乱。国と都道府県知事の役割を不明確にした緊急事態措置に加え、「1世帯に布マスク2枚配布」や歌手・星野源氏の曲とともに優雅にくつろぐコラボ動画の投稿など、あまりにも国民をバカにした対応ばかりだった。
今やマスク不足は解消され、店頭で自由に購入することは可能になっているが、国民から批判が殺到するまで、約250億円をかけて8000万枚もの布マスクを配布するつもりだったというから、その感覚に呆れてしまう。
完全に「雲隠れ」の安倍、加藤
失策をごまかし、責任を他者のせいにするのは、いつもの安倍政権の論法であるが、最近の例としては菅官房長官が発した「東京問題」がある。菅官房長官は7月11日、北海道千歳市内での講演で「この問題は圧倒的に東京問題といっても過言ではないほど東京中心の問題となっている」と語り、コロナ感染者が急増している責任を東京になすりつけた。だが、感染者が全国的に増加しているのは自明のことで、東京都の小池百合子知事は国の「Go Toトラベルキャンペーン」を引き合いに「冷房と暖房を両方かけるようなことにどう対応すれば良いのか」と呆れ顔だ。
「えっ、それ今必要か?」という国民の声もむなしく、キャンペーンを前倒ししてまで国が強行したことに関し、元大阪府知事の橋下徹氏は「この大混乱の原因は、国家の動かし方がぐちゃぐちゃになっていることだ」と指摘している。権限と責任の所在が不明確のまま都道府県に責任をなすりつけて、「自分たちは悪くない」という国のレトリックがもはや見透かされ、国民に呆れられていることを知らない「裸の王様」状態である。
ようやく「1人10万円配布」の給付金が行き届くようになったが、あまりに遅すぎる。本来ならば指揮をとるべき加藤勝信厚生労働相の姿はどこで何をしているのかさえも見えず、安倍総理が国民に呼びかける記者会見も最近は行われなくなってしまった。コロナ対応で本性がバレた安倍政権の内閣支持率は低空飛行のままで、一向に上向く気配もない。それに気づかせてくれたということを加味しても、国の対応は最低点だろう。