コロナ禍が不動産に及ぼしている影響

コロナ禍がなかなか終息の気配をみせない。それにより、最初に大きな打撃を被ったのが、ホテルや旅館といった宿泊施設だった。とりわけ緊急事態宣言が発せられ、県境を跨ぐ移動を厳しく制限されたことは、「移動」をベースにした宿泊施設に対してはあたかも死刑宣告を受けたようなものだ。

武蔵小杉駅周辺に広がるタワーマンション群。
武蔵小杉駅周辺に広がるタワーマンション群。(プレジデント編集部=写真)

商業施設も宿泊施設と並んで深刻な影響を受けている。大型店舗の多くが営業の自粛を求められ、テナントとの間での賃料減額交渉に頭を悩ますオーナーが多い。特に深刻なのは飲食業で、中小店舗の多くが、賃料の支払いができずに閉店や廃業に追い込まれる事態に発展している。一方でEC(電子商取引)は活発で、人はお店に出かけずに、必要なものをオンライン上で調達することで事を済ますようになった。とりわけこれまでは新鮮度や配送などの問題から、なかなか進まなかったネットスーパーも、混み合う食品売り場を避けて利用され、評価されるようになった。

さらにオフィスではテレワークが推奨されたことから、緊急事態宣言が解除された以降も、引き続きテレワーク体制を維持する企業が多く出始めた。このことは、今後オフィスの減床や解約につながる動きになると予想される。通勤から解放された勤労者の多くが、通勤に使っていた時間がいかに「無駄な時間」であるかを認識し、会社に通勤せずとも、かなり多くの仕事がこなせてしまうということに気付いた点も、今後のオフィスの在り方に対して有効な示唆を与えたと思われる。

さて、こうしたコロナ禍が不動産に及ぼしている影響は、今後の不動産マーケット、とりわけ住宅マーケットにどのような影響を与えることになるのであろうか。