タワーマンション(タワマン)は、眺望や都心部へのアクセスの良さから憧れの象徴となっている。だが、オラガ総研の牧野知弘氏は、「タワマンが林立する土地の多くは埋め立て地だ。以前、その土地に何があったのかを知っている昔からの東京人はタワマンを買わない」という——。

※本稿は、牧野知弘『不動産で知る日本のこれから』(祥伝社新書)の一部を再編集したものです。

ラグジュアリーなウオーターフロント、墨田区の高層ビル群
写真=iStock.com/Juergen Sack
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13年間に供給されたマンションの4戸に1戸がタワマン

都心の風景は2000年代になってずいぶん変わった。羽田空港から都心に向かう首都高速1号線に乗れば、芝浦近辺から都心部にかけて、まるでムーミンに登場するニョロニョロのごとくタワーマンションが林立する。

お台場に向かうレインボーブリッジから都心を見れば、そこは湾岸タワーマンションが天にも届けとばかりに、その高さを競い合う光景に触れることができる。

では、首都圏(1都3県)でタワーマンションはどのくらいできているのだろうか。タワーマンションという定義はないが、不動産経済研究所では20階建て以上のマンションを超高層マンションとして、分譲用に供給された戸数について集計・発表をしている。

それによれば、2004年以降2016年までの13年間に、首都圏で供給された超高層マンションは累計で573棟、17万7850戸に及ぶ(2016年は推定値)。

同期間に首都圏で供給されたマンション戸数(69万7418戸)の、なんと4戸に1戸が、いわゆるタワマンなのだ。