韓国G7招待は中国包囲網を強めるか

米国の対中国戦略の駒として、ドナルド・トランプ大統領は8月下旬に予定されているG7に、ロシア、オーストラリア、インド、韓国の4カ国を招く意向を示した。このような動きはトランプ大統領独自の動きというよりは、対中国に超党派で動きつつある米国全体の方向性として認識すべきだろう。

G7 サミットや会議のコンセプト
写真=iStock.com/Bet_Noire
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しかし、これらの国々をG7という既存の枠組みに招くということは、それらの国々と緊張関係にある既存のG7参加国や当該4カ国とライバル関係にある国との軋轢あつれきが生じることは明らかであり、対中戦略上の一手として必ずしも賢い行為と言えるかどうかはわからない。

たとえば、G7参加国であると、イギリス・ドイツはロシアの参加を快く思わないだろうし、日本も韓国の参加についてもろ手を挙げて賛成とはいかないだろう。地域大国に育つ見込みのインドネシアはオーストラリアの参加を好ましく考えないであろうし、パキスタンもインドの参加を望ましいと捉えないはずだ。つまり、一見して対中包囲網を形成するようで、実は対中包囲網に穴を開けかねない行為だと言えるだろう。