夢のために我慢して嫌いな日本に来る
「私も本音のところ、日本は好きではありません。でも国と私は別問題、仕事と夢のために我慢です」
かつての韓国人留学生、ユンさん。韓国の準難関大学を卒業後、母国の専門学校を経て日本の大学へ。数年前から都内のIT系ベンチャーに勤めている。ユンさんには夢がある。そのために日本で我慢している。夢とは何だろう。
「アメリカの大学院に進むことです。世界的な企業はもちろんですが、韓国の財閥大手に入れれば最高ですね」
なるほど、ここでもアメリカだ。私が以前コロナ禍の新宿を取材中に知り合った韓国人留学生も成績が良ければアメリカに行くと言っていた。それかフランスやイギリスなどのヨーロッパ先進国、日本組は残念賞と。
「それに、韓国の財閥に入社すれば親も喜びます。一族の誇りです」
ユンさんによれば、親を喜ばすことは最高の孝行であり、それは何にも勝るという。ユンさんの親との信頼関係と育ちの良さがうかがえるが、韓国ではそれが普通だという。大手財閥企業に入りでもしたら一族郎党でお祝い、末代まで語り継がれるとは大げさなようで事実。憧れの韓国大財閥の求人はごくわずか、それもSKY(ソウル大、高麗大、延世大)をしのぐコネ組にも勝たなければならない。そのための留学、これもまた韓国のリアルだ。