本当の「負け犬」は留学すらできない

「韓国にもそんな価値観はやめるべきだなんて人たちがいますけど、あきらめた人たちですね。あなたの記事には『負け犬』とありましたが、本当の負け犬は留学すらできずに安い給料のままです。とくに田舎は悲惨ですね」

韓国語で負け犬は「チジリ」だと教えられた。スラングらしいが、なんだか底辺大学や専門学校に留学する韓国人も高卒や就職浪人で国内にくすぶっている韓国人もみんなチジリ、若者は負け犬だらけに聞こえる。地域格差も日本のそれとは比べ物にならない。

「たぶんそのコンビニの彼は地方の高卒じゃないですか? だから一緒にしてほしくないですね。私はもっと上です。もっと上を目指します」

韓国人エリートやそれを自負する人たちのプライドの高さと上昇志向は日本人に受け入れ難いほどに強烈だ。2000年代、私が仕事で付き合った韓国の商社の若者は、反日デモについて「反日で暴れているのは学歴の低い人たちです」「一緒にしないでください」と同じようなことを流暢な日本語でまくし立てた。「あいつら(デモの団体)はヤクザ」とも言っていたがその真意はわからない。その人だけかと思ったが、意外と韓国人は口にする。それほどまでの学歴社会、エリート絶対主義だ。

留学生に優しいのは韓国人が要求したわけじゃない

しかし不思議なのは、あまりよく思われていない日本に留学して大丈夫なのかということだ。経歴に傷はつかないのか。素朴な疑問を問いかけると、それは大丈夫なのだという。日本人にはよくわからない考え方だ。

「そうですか? 気持ちと現実を分けるのが韓国人です。日本人は一緒にするから子どもっぽいです」

また新宿で出会った留学生の彼と同じようなことを言う。彼は「幼稚」と言っていた。たった2人とはいえ、この韓国人留学生と元留学生の日本人に対する印象としての一致性は興味深い。結局のところ、エリートも非エリートも変わらないような気がする。

「留学生に優しいのは日本の方針ですし、私たちが要求したわけではないですから。」

文部科学省がコロナ真っただ中に発表した「外国人留学生在籍状況調査」によれば、2019年5月1日時点で韓国人留学生は1万8338人と、中国の12万4436人、ベトナムの7万3389人に比べれば決して多くはないが増えている。日本への就職に関してはそれ以上だ。

文科省は政府目標の「留学生受入れ30万人計画」を達成したと意気込むが、肝心の中身はどうなのか。