事業の成長と、ビジネス環境の変化に伴い、組織は多くの問題に直面する。放っておけば組織はどんどん不健全な状態に陥るが、それを防ぐことは可能だ。まずは問題を分析し、問題に合った解決手法の組み合わせを考えよう。
あなたはしばらく前から気づいている。自分が率いている会社や部門が以前ほどうまくいっていないということに。
表れている症状が何であれ、あなたは組織を健全な軌道に戻さなければならない。それも早急に。そのプロセスがどれほど大変そうに見えようと、リーダーはパフォーマンスの悪い会社や部門を立て直すことができると専門家は言う。どうすればできるのか。まず次のガイドラインから出発しよう。
●企業が進化の過程でよく遭遇するいくつかの機能不全のタイプを理解しよう。
●あなたの会社の機能不全のタイプを診断しよう。
●あなたの会社の、より健全なあり方を思い描こう。
●その理想的な状態を実現するために、組織構造やインセンティブなどの手段をうまく利用しよう。
機能不全を認識しそのタイプを診断する
企業──あるいは部門や部署──は、進化していくなかで、成長や変化に絡んだ問題に直面する。意思決定に介入するマネジメント層が増えたことで、形式に縛られ、反応が鈍くなり、政治的な動きが多くなりすぎる企業もある。規模が拡大したために分権化を余儀なくされ、調整メカニズムがないまま職能横断的な組織やプロセスを持ち込んで混乱を招く企業もある。弾力性、適応力、集中といった健全な属性に代わって、停滞や混乱や消極性がはびこるようになる。健全さと機能不全のこれらのパターンは明確に識別できるので、ブーズ・アレン・ハミルトンのコンサルタント、ゲーリー・ニールソン、ブルース・パステルナック、デシオ・メンデスの3人は、それらに名前をつけている──レジリエント(柔軟)型、ジャストインタイム型、軍隊型(上記3つが健全)、パッシブ・アグレッシブ(受動攻撃)型、フィット・アンド・スタート(行きあたりばったり)型、過剰成長型、管理過剰型(上記4つが不健全)。
機能不全のタイプを表すのにどんな言葉が用いられようと、立て直しのためにはリーダーが自社の問題を正しく診断することが不可欠だ。「さまざまなタイプの機能不全の簡単な説明を読むだけで、幹部やマネジャーが『これこそわが社の問題だ』と断定できることがある」とニールソンは言う。診断ツールも助けになることがある。たとえばブーズ・アレン・ハミルトンは、企業の状態について「パッシブ・アグレッシブ」、「管理過剰」、「過剰成長」等々(健全、不健全にかかわらず)のいずれのタイプかを診断するオンライン調査システムを開発している。この調査を受けるには、www.orgdna.comにアクセスしてアンケートに記入するだけでよい。
だが、自分の会社の機能不全をどう診断しようと、社内の他のグループは会社の健全さについてまったく異なる見解を持っている可能性があることを忘れてはならない。そうした認識の違いを放置しておくと、組織が問題を突き止め、それに取り組む妨げになることがある。