見知らぬ人から聞けば「突拍子もない話」も、親しい人間の口から聞けば「面白い話」に聞こえる。価値観やものごとの手順を共有する人となら話ははやい。ことほどさように、人間関係は交渉のあらゆる側面に影響を及ぼすものだ。

6年前、新しいインターネット・カタログ販売会社を興したエスター・ロレンザ(仮名)は、自社のユニークな製品仕様と高い品質基準を満たせるサプライヤーは1社しかないと判断した。だが、問題があった。第1に、彼女の新会社がまだ構想段階だったのに対し、そのサプライヤーは国際的に事業展開している年商100億ドルの上場企業だった。第2に、そのサプライヤーは彼女が企画していた製品に類したものは1度もつくったことがなかった。

ロレンザは諦めず、別の事業の関係で知り合いになっていたその会社の地区担当副社長に電話して、自分のアイデアを説明した。副社長は、自分の会社がこのアイデアを取り上げることはまずないとは思ったものの、ロレンザのためにCOO(最高執行責任者)に紹介の電話を入れた。COOもまず見込みはないだろうとは思ったが、ロレンザのために、やはり創業者である自社のCEO(最高経営責任者)とのランチを手配した。CEOは、このパートナーシップ案についてのロレンザの説明に興味をそそられた。3時間後には、2人の創業者はこの案にいくつもの相互利益を見出しており、合意が成立した。