英語力は年収を左右する重要な要素になりつつある。ある転職支援会社の調査では、年収1000万円の人のうち、約60%が英語上級者で、初級者は12%だった。プレジデントFamily編集部が、「英語ができないと損する」という実態を、人事と受験のプロに聞いた——。

※本稿は、『プレジデントFamily2020年夏号』の記事を再編集したものです。

同じ職務スキルでも英語ができるだけで年収が3割上がるケースも

「年収は英語力の有無で大きく変わります。それだけ、英語を話せる人材への需要が高いということです」

そう語るのは、グローバル人材の転職・採用支援を行っているエンワールド・ジャパンの狐崎壮史氏だ。

「労働市場において、英語ができる人はできない人に比べてはるかに有利です。英語ができないと応募できない職種もありますし、同じ職務スキルでも英語ができるだけで年収が3割近く上がるケースもあります」

実際に英語と年収を裏付けるデータもあるそうだ。

「今年、当社サービス登録者1928人を対象に、英語と年収に関する調査を行いました。登録者の英語レベルを上級(流暢)、ビジネス、中級(日常会話レベル)、初級(挨拶レベル)に分け、年収を調査したところ、上級レベルの約60%が年収1000万円以上であるのに対し、初級レベルで年収1000万円以上の人は12%でした」

英語力によって、年収にここまで大きな差が出ている背景には、企業のグローバル化の進展がある。

「ここ20年ほどで企業の海外進出は、大きく進みました。以前は国際的な事業に携わるマネジメント層だけが英語ができればよいという状況だったのが、今や現場レベルの社員も海外の支社や工場とのやりとりなどで英語を使わざるを得ない状況になっています。企業が採用時にTOEICの点数を求めることも増えてきていますし、その点数次第では海外事業部に配属されないなど、働ける可能性のある部署が限定されてしまうというような例もあります」

こうした状況下で求められる英語力は、文章を読んだりメールを打ったりする力ではなく、ビジネスの交渉ができるハイレベルなコミュニケーション能力だと狐崎氏は言う。

「実際に前出の調査で“英語をどのようなシーンで使うか”を聞いたところ、上級・ビジネスレベルの層の6割以上が電話応対や社内会議で英語を使っていました。英語の上級・ビジネスレベルの層は、企業にとって直接海外との交渉や海外進出を任せることができる、貴重な人材です。そのため、高い給料を払っても獲得したいのです」

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