くら寿司はTOEIC800点以上を条件に新卒で年収1000万円
日本企業がグローバル人材に高い給料を提示する動きは、新卒採用にも出てきている。
たとえば、2019年、回転寿司チェーン大手のくら寿司がグローバル展開のための人材として、TOEIC800点以上を条件に新卒で年収1000万円という金額を提示した。
また、ユニクロを展開するファーストリテイリングは、海外転勤ありのグローバルリーダー社員の初任給を21万円から25万5000円に引き上げ、幹部候補生については、入社3〜5年で年収1000万円以上に引き上げる意向を示している。
企業の国際展開に伴い、日本企業が優秀な外国人を採用することも、当たり前の光景となりつつある。たとえば、メルカリでは新卒エンジニアの9割が外国人で、本社には25カ国の人が働いている。また、10年から社内公用語を英語にした楽天は、社員の23%が外国人だ。
「外国人採用に積極的な企業では、社内でのコミュニケーションでも英語が必要になってきているため、英語の重要性は高まる一方です」
「英語×技術」で年収3000万円以上も
「もう一つ、英語力によって年収が大きく左右されるようになった背景には、国際的な人材の獲得競争があります。近年顕著なのはIT技術者です。アメリカや中国の大手IT企業などが英語力と技術力を兼ね備えた優秀な人材を奪い合っています」
18年には中国のIT大手ファーウェイが、日本で初任給40万円を提示して採用を行ったことを皮切りに、NECやトヨタ自動車、NTTデータといった日本企業もIT技術者の採用を狙って、新卒社員の年収上限を1000万円まで引き上げるといった制度変更を行った。
「人工知能開発やビッグデータ分析などの専門技能がある人は、英語力があると、年収3000万円以上になることもあります」
今の小学生が社会に出るころには、こうした傾向は一層強まるようだ。
「今回のコロナショックで一時的な景気後退はあるかもしれませんが、ビジネスの国際化の流れは、止めることはできません。英語ができれば、活躍の場が広がり、収入も上がりますが、できなければ、高い収入を得るチャンスを逃してしまいます。ただ、英語ができればいいといっても、TOEICのスコアだけでは不十分。実際に外国人と英語で話す場数を踏み、仕事上でコミュニケーションを円滑に取れる語学力を育てる必要があります」