6月18日のXデーに何があったのか
法務行政トップだった人物を検察当局が捜査対象にした前代未聞の事件は6月18日、ついに「Xデー」を迎えた。昨年夏の参議院選挙で初当選した河井案里参議院議員をめぐる買収事件で、案里氏と夫の河井克行前法相が公職選挙法違反(買収)の疑いで逮捕されたのだ。河井夫妻は容疑を否認しているが、検察側は起訴までもっていく「鉄の意志」があるとされ、吹き荒れる検察不信を払拭していく強い覚悟を持っているようだ。捜査の行方はさておき、今回は「Xデー」を迎える中でドタバタと進む動き、水面下で繰り広げられる政局に注目したい。そこにある魑魅魍魎の世界とは――。
この事件が注目される理由は、単なる選挙違反事件ではない点にある。今後の展開次第では安倍晋三政権のみならず、戦後日本を政権与党として牽引してきた自民党政治にとって大ダメージとなるほどの事案なのだ。まずは、ことの発端を振り返っておきたい。
昨夏の参議院選挙で定数2の広島選挙区から自民党2人目の候補者として出馬した案里氏は、夫の克行氏と二人三脚で選挙戦に臨み、事前の予想を覆す形で議員バッジを手にした。その余波で落選したのは自民党岸田派の重鎮、溝手顕正氏だった。