年収300万円世帯の半数は幸せ

世帯年収300万円台でも幸せ──。プレジデント誌のアンケート調査(図)でそうした実態が浮上した。「とても幸せだ」または「どちらかというと幸せだ」と回答した人が合わせて54.4%と半数を超えた。この結果に意外な感じがする読者もいるかもしれないが、決して不思議なことではないようだ。「幸福学」が専門の慶應義塾大学大学院教授の前野隆司さんは「年収というのは幸せを構成する1つの要素にすぎず、お金以外の幸せの構成要素を充実させれば十分ありえます」と説明する。

実際、米プリンストン大学のダニエル・カーネマン名誉教授の調査で、年収7万5000ドル(800万円弱)までは収入に比例して幸せ感が増すものの、それ以上収入が増えても幸せ感は頭打ちになることがわかっている。「収入が高いほど人は幸せになる」という単純な図式ではないのだ。「もちろん、一定程度の収入はあったほうがいいわけですが、それがすべてではない。年収が高いけれども不幸せだと感じている人は、お金以外の要因が足りないのだと思われます」と前野さんはいう。