所得税の税額が大きく変化している

私たちが納める所得税の税額が20年ほどの間に大きく変化していることをご存じだろうか。1999年、07年、15年の3回の税制改正を見ると、高所得層の税率が高くなる一方、低所得層の税率は下がっている。99年の最高税率は37%だったが、07年に40%、15年には45%まで引き上げられた。半面、最低税率はこの20年で10%から5%に下がった。

AGS税理士法人常務理事 和田博行氏
AGS税理士法人常務理事 和田博行氏

「この3回の税制改正を振り返ると、所得税は最高税率の引き上げ以外にも、中・高所得層を細分化し、税率23%、33%という階層を新設しています。また控除額も減らすなど高所得層からより厚く税金を取り、低所得層の負担は軽減される流れになっています」

所得税制の変化についてAGS税理士法人の常務理事で税理士の和田博行さんはこのように解説したうえで、次のように続ける。

「税率アップのほかに給与所得控除額の改正もありました。控除額の上限をカットし、高所得層により税金をかけていこうという動きだと理解しています。具体的にいいますと、16年に給与収入1200万円超の人は230万円が上限に、段階を経て20年には給与収入850万円超の人は上限が195万円になることが決まっています」