うまくいかないチーム・組織を変えるにはどうすればいいのか。問題点は、意外と「みんなの仲がよくないだけ」なのかもしれない。MIMIGURI代表Co-CEOの安斎勇樹さんは、「いきなり『心理的安全性』を高めたりするよりも、シンプルに『自己紹介』のやり方を工夫するところから始めてみては?」と言う――。

※本稿は、安斎勇樹『冒険する組織のつくりかた 「軍事的世界観」を抜け出す5つの思考法』(テオリア)の一部を再編集したものです。

「心理的安全性の誤解」という誤解

いいチームをつくるには、「心理的安全性」が大切だと言われます。

心理的安全性(Psychological Safety)とは、ハーバード大学のエイミー・C・エドモンドソン教授の研究によって注目された概念で、「対人関係のリスクをとっても大丈夫だ」と信じられるような集団の心理状態のことを指します。

ちょっとした思いつきや疑問などがあったときに、ためらうことなく率直にそれを口にできるような空気があるかどうか――これによってチームや組織の生産性が大きく左右されることが、学術的にも確認されているのです。

会議を開く日本人ビジネスマン
写真=iStock.com/west
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よく指摘されることですが、心理的安全性の高い組織というのは、ただの「仲よしチーム」「安心感を持って働けるやさしい会社」とは違います。

責任やプレッシャーから自由な「ぬるい職場」を実現することが、心理的安全性の真意ではないのです。

しかし、注意が必要なのはここからです。

というのも、こうした誤解への批判それ自体が、かえって「心理的安全性の核心」を見えづらくしている側面もあるからです。

心理的安全性が高まるほど「らしさ」が出てくる

経営行動科学などを専門とする伊達洋駆によれば、心理的安全性にある最も重要な働きは、「集団が持っている個性を引き出すこと」にあります。

つまり、チームの心理的安全性が高まれば高まるほど、個人やチームにもともと備わっていた「らしさ」や、ずっと抑圧されていた「特性」がしだいに顕在化してくるのです。

だからこそ、メンバー全員の「自己実現」と「組織アイデンティティ」の探究を大切にする組織をつくるときには、やはり心理的安全性の醸成はきわめて重要です。

心理的安全性が高まることで、メンバーたちの眠れる個性が発現する

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互いの個性を共有し認め合うから、全体としての心理的安全性も高まる

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その過程で「私たちらしさ」が育まれる

こうした好循環をつくることが、冒険する組織における「チームづくり」なのです。

ただし、ここで発現するのは「望ましい個性」だけではありません。

怠惰なチームはより怠惰に、競争的なチームはより競争的に、大胆なチームはより大胆になり得ます。

実際、目に見える成果だけを重んじる功利主義的な職場においては、心理的安全性が高まった結果、かえって不正や非倫理的な行動が増えてしまったという報告すらあるくらいです。

その意味では、心理的安全性を高めて組織本来のポテンシャルを解放していくときには、並行して、どのような組織文化をつくっていくかも重要になります。