野球の強豪校では、たびたび部内での暴力事件が報じられている。なぜなのか。部員間の暴力で無期限活動休止になった北海道の強豪・北照高校は、事件を境に部内の仕組みを一変された。その結果、再び甲子園への出場を果たした。スポーツライターの元永知宏氏がその背景をリポートする——。(第2回/全2回)

※本稿は、元永知宏『野球と暴力 殴らないで強豪校になるために』(イースト・プレス)の一部を再編集したものです。

西宮市にある阪神甲子園球場
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無期限活動停止、ゼロからのスタート

2016年8月、北照高校(北海道)は、秋季北海道大会への出場を辞退すると、道の高野連に届け出た。主な理由は部員の暴力だった。打撃練習中の態度が悪いと、上級生が下級生を平手打ちしたほか、SNSで上級生の悪口を発信した下級生の顔を殴るという暴力行為があった。そのほかに、部員の試験でのカンニング、校則違反のバイク免許取得、野球用具のインターネット販売などの不適正な行為が確認された。

同校野球部は、無期限の活動休止を宣言した。春夏合わせて8度も甲子園に出場している強豪校の不祥事は、大きなニュースになった。2016年10月には、野球部長が部内暴力の報告遅れで、謹慎3カ月の処分を受けている。

それから1年10カ月後、南北海道大会を勝ち抜いた北照の選手たちが、甲子園のグラウンドに立っていた。不祥事発覚、出場停止から、どうやって復活を果たしたのか。