誰かのミスで全員走る連帯責任はナンセンス

だが、すべての練習を刷新しているわけではない。あえて以前のやり方を残している部分もある。

「選手のころから、試合に負けたあとにさせられるペナルティ練習が嫌いでした。ただ、いまでも私は、試合で打たれたピッチャーを走らせることがあります。それは罰としてではなくて、走っている間にいろいろなことを考えさせたいから」

勝つこともあれば負けることもあるのがスポーツだ。だが、「負けたら終わり」のトーナメント形式で行われる高校野球では、目の前の試合しか見えない、いや見ようとしない指導者がいる。

「でも私は、今日勝っても明日負けるかもしれない、負けても次は勝てるかもしれないと思っちゃうんです。いまチームに大事なことはなんなのかを、いつも考えています。

ペナルティ練習をやらせると、違う方向にエネルギーを持っていかれますね。どうしても、『あいつのせいで』となってしまう。負けたことや失敗に対して罰を与えても、何も生まないと思う。連帯責任もナンセンスです。誰かのミスで全員が走るというのは、どうなんでしょうか。選手にとってはストレスでしかない」

もしグラウンドにボールが落ちていたら、チーム全員が責を負う。何らかの罰を与えられるのが、いままでの当たり前かもしれない。

「それが起こるのは、チェック係が仕事をおろそかにしていたから。でも、犯人捜しをしても意味がない。どちらかというと、マネジメントの問題です。なぜそうなったか、どうすれば防げるかを考えるほうが大事ですよね」

「自分で考える」生徒を育てるためには?

監督やコーチが考えを一方的に押し付け、選手はそれに黙って従う。それまで長く続いてきたやり方を大きく変えたのは、選手への信頼があったからだ。

「まだ高校生なので、厳しく言うところは厳しくしています。教えることはちゃんと教えないと。でも、ずっとスポーツをやってきた子は聞く耳を持っていますよ。無理に“やらせる”必要はないと思っています」