6人の園児の親は「どうしても休めない仕事」をしていた
JR新大久保駅から歩いて10分ほど。新宿区の静かな住宅街にエイビイシイ保育園はある。東京都でただ1つ、24時間保育を行う認可園だ。通う子どもは90人。この保育園もまた、コロナ禍の影響で状況が一変している。
新宿区は4月13日、認可保育園の保護者たちに登園自粛を要請した。期間は4月14日から5月6日まで。例外は「国及び東京都から事業の継続を要請されている事業所」に勤務する保護者と「真にやむを得ない事情により、家庭での保育が困難な場合」である。
要請から9日後の22日、エイビイシイ保育園には6人の園児がいた。親は歯科医師や運送関係など、どうしても休めない仕事をしている。保育時間は24時間ではなく、11時から18時までの7時間に制限している。
新宿区の要請に先がけて、新宿区私立保育園連盟は区に原則休園の嘆願書を出した。エイビイシイ保育園の園長で、連盟の会長でもある片野清美さん(69)は、電話越しに次のように話した。
「保育士の中には電車通勤する職員もいますので、いつ感染するかわかりません。小さな子どもたちにソーシャルディスタンスをというのも無理なことです。万一感染者が出れば、2週間の休園となってしまいます。どうしても保育が必要な保護者や職員を守らなくてはいけません」
「『登園自粛』では会社を休みにくい保護者もいます。本当は『原則休園』にするべきです。ですが、うちの保護者はみんなよく理解してくれました。これは、24時間保育を通して日頃から保護者と深い絆があるからだと思いますね」