高校3年生の気持ちを取り戻す

私がメモをするときに一番大切にしているのは、「アイデアは容易に失われる」という実感です。アイデアは、パッと閃くのと同じように、一瞬で消えてしまう。だからすぐに書き留めたいし、忘れないようにしたいんです。

博報堂BID局/スダラボ エグゼクティブ・クリエイティブディレクター 須田和博氏
博報堂BID局/スダラボ エグゼクティブ・クリエイティブディレクター 須田和博氏

逃さないためには何より文字やスケッチを描くための速度が大事で、思いついた瞬間を逃さないようにすること。そして、書いた時間を特定できるようにすること。それが、私がメモをどう使うかの基本的な方針です。

歩くときには、必ずズボンのお尻のポケットにメモ帳を入れていますし、家のテレビの横にも紙を用意しています。いつでもどこでも、瞬時にストレスなくメモを取れるようにしたい。メモ帳はA6のノートで、もう35年同じものを使っています。

さかのぼると、メモを取り始めたのは高校1年生のとき。映像研究会に入って、8ミリフィルムで映画を作ろうとなり、まず台本を書かなきゃと、ネタ探しを始めたんです。そうして映画のアイデアを溜めるために、メモを取り始めました。以来、ずっと同じノートを使っています。