前田さんは、日本おもちゃ大賞2016共遊玩具部門大賞を受賞したタカラトミーアーツのねこ型楽器トイ、「ムニュムニュ ドレミファキャット」の生みの親。現在は同社の人気商品「ゾイド」の開発に携わるタカラトミーのエース社員だ。見れば、ただのメモとしては完成度の高いことがわかるだろう。そんな彼女のメモの極意とは?

アイデアがアイデアを生むためのメモ

学生時代から、とにかく思い付いたことがあればすぐにメモする習慣がありました。溜まっていったメモ帳を見返せば、そこから何か新しいアイデアが出てくる、そう実感しています。会社に保管しているメモのバックナンバーには年月を記してあり、「あのときはこんなことを考えていたな」と振り返りながら当時のメモを引っ張り出す。アイデアがアイデアを生むと思っています。

タカラトミー開発部 前田一歩氏
タカラトミー開発部 前田一歩氏

そのために意識していることは、「見返したときのわかりやすさ」。重要なコンセプトは線で囲い、あとから見たときに際立つようにしていますが、これにも種類があります。吹き出しになっているのは補足的なコンセプト。四角で囲われているのは全体的なコンセプト。それが1ページのなかで多すぎても、なにが大切かわからなくなってしまう。むやみやたらに囲ってもいけないのです。

また、文字だけでなくイラストを多用しているのは、アイデアが生まれたそのときの感情を大事にしているからです。文字だけでは伝わらないニュアンスまで感覚的に残します。